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神戸大学医学部の学生の頃から精神科医を目指していたため、大学院では神経解剖学を学びました。大学から尼崎病院へ移った当時は分裂病の臨床研究をしていました。後にアルツハイマー病へとテーマが変わりましたが、その時の研究が役立っています。分裂病の陰性症状の患者さんに当時、坑精神病薬に加えてビタミンEの投与をしていました。ジスキネジアが出た患者さんに坑精神病薬を止めてビタミンEのみ継続したところ陰性症状の改善がみられました。分裂病の患者さんは赤血球中ビタミンEが有意に低いことが知られています。同様赤血球中濃度が低いのがコエンザイムQです。これはビタミンEと同様脂質ですが、投与したところかなり陰性症状がとれた経験があります。
アルツハイマー病でもコエンザイムQを使ってみましたが効果があまりみられないため、神経伝達物質の合成に欠かせない補酵素、ビタミンB6を併用したところ、効果はありましたが数ヶ月しか持続しません。そこで脳SPECTで血流をみると低下していることがわかりました。脳が酸欠状態なわけです。そこで鉄剤の投与を考えました。コエンザイムQとビタミンB6それに鉄剤の3剤を投与したところ著効が得られたのです。反応も早く、長期持続、少なくとも3年は持続します。
1990年に48歳と58歳の姉妹のアルツハイマー病患者に鉄剤療法を行いました。重症の姉はアルツハイマー病の進行度レベル6で、ひとりでは服を着られない状態でしたが、レベル3の記憶障害は残るが日常生活に支障がない程度に回復しました。妹はレベル5で日常目が離せない状態でしたが、半年でレベル1の年齢相応程度に回復し、自転車に乗って姉の世話をするまでになりました。 |